おまいら、釣られたと思ってどうか最後まで読んでください

「釣り」と「騙されたと思って〜〜してみなよ論」の共通点

 よく人にものを勧めるときに、「ちょっとこれ、騙されたと思って食べてみ。すっごいおいしいから」って言い回しあるでしょ?これってよく考えたら不思議な言い回しですよね。
 そして2chをちょっとでもかじってる人なら聞き覚えのある言葉である「釣り」。キーワードをあえて引用しますと釣りとはこういうことです。太字は伏線です。

特定の言葉や行為に対し過敏な人々に向かって誘い水を出し、それらの人々が過剰に反応する様を楽しむことを目的とした愉快犯・確信犯的な行為を示す。

ウェブ上における意味での、この言葉の使用頻度が最も高いと思われる「2ちゃんねる」での例を挙げると、ある作品・著名人・芸能人などの熱狂的なファンが集まるスレッドで、さも信憑性の高そうな嘘の情報を流したり、あえてファンの間では極常識的な話題を今初めて知ったかのような喜びを交えながら書き込んで、周りのファンからの突っ込みを期待するなどの、周りの反応を楽しむ行為や*1、各カテゴリーに関係なく立てられる「高卒叩き」のスレッド、アニメ・ゲーム・マンガ・特撮などのカテゴリーに立てられる「オタク叩き」「マニア叩き」のスレッドなどが代表的か。ただし、余程興味を惹く形での「釣り」ではないと、かえって周りを白けさせてしまうだけなので注意したい。また、釣っているつもりが実は釣られていた、ということもあるので用心しよう。

中には長期間計画を練って様々な人格を作り上げ、一人のユーザー(この場合「トリップ付きコテハン」)を巧みな話術と自作自演で釣り上げる「釣り師」といった職人も存在する。

僕はこの釣りの文化の根底にあるのが「騙されたと思って〜〜してみなよ」という勧誘文句じゃないのか。そしてこのような形のコミュニケーションのとり方ってひょっとして、日本特有の文化みたいなものじゃないのかと。ふと思ったんですよ。英語で「騙されたと思って〜」という言い回しは僕は聞いたことがないしもっとストレートに「Believe me!」になるはず。*1どうも釣りの文化と「騙されたと思って〜」文化には共通点があるような気がして僕は夜も眠れない。
 「騙されたと思って」の言い回しの根底にはどういう意識が働いているのか。よく考えたらおかしな言葉でしょ。誘う側は騙す気などさらさらないかもしれないのに相手を信用させるためにあえて自分を貶めている。おかしいですよね。そう思って調べてみました。といってもソースは教えてGooだけなんですけど; 

  • どうやら「騙されたと思って〜」という言い回しは、わかり易くいえば誘う側が誘われる側に「お前の価値判断をいっぺん俺に預けて、丸腰で信じろよ!」と言ってるのと一緒で、誘われる側は、ひょっとしたら騙されるかもしれないけど相手のことを慮ってあるいは信頼して行動に移している。誘われる相手と誘う相手の間に信頼関係が成立しているときに使われやすい。

 と、僕が納得した限りではこういう解釈に落ち着きました。僕はアメリカの習慣だとか人々の価値規範に明るくないので、実のところこれが日本特有の言い回しかどうかまではわかりません。でもストレートに「僕を信じろ」と言うよりかはなんとなく回りくどくて奥ゆかしい感じはします。アメリカ人は自分を貶めてまで人に何かを信じさせようとは思わないんじゃないかとも推論ながら思いますし。
「あなたの期待は決して裏切りませんよ、今日この僕が自信を持ってご紹介するのは〜・・」的な
いかにもTVショッピングみたいなやり方で勧誘するのでしょう。何某かの因果関係はあるかもしれませんね。

これを踏まえた、「釣り」と「騙された論」から見る日本文化的ネットコミュニケーション

 いや、でもしかし、この話はやはり「釣り」に通じるものがあると思います。2chはご存知のとおり匿名で、相手の顔もスペックも何もわかりません。もちろん信頼関係なんかはあったものではありません。ネットイナゴの論理で何か騒ぎ、祭りが起こればそこに群がりますし貶す相手には徹底的に貶します。世間の人々から見れば殺伐とした場所だと思われてもこれ仕方がありません。しかしその実、2ch住民の間には信頼関係ではない何か別の意識、何だろう、同属者意識みたいなものがはたらいていてそれが結果論として信頼関係に結びついていると言うパラドックスが生じている。
 匿名どうしの信頼関係なんて今までならありえない話だったのがだんだんありえる話になってきている。とくにVIPPERなんかは名無しさんと名無しさんとの間に妙なシンパシー見たいな空気が流れていて、思いのほか結束力は高い。考えてみれば結局ネットイナゴなんかも善し悪しは別として、結束なんですよね。そしてその信頼関係は線香花火のごとく打上花火のごとく切なくて儚くて脆い。実名でしかもリアルの付き合いなら関係が継続するものが、匿名だからその場限りの関係で終わってしまう。しかももうひとつ付け加えると、そんな脆いコミュニケーションだから、普通のスレで書き込みしてる限りはそんな信頼関係なんて生まれやしない。大概自分の思い思いの事書き込んで、ひょっとしたらそこに安価ーがつくくらい。
 釣りと言うこの2ch文化は、一見嘘を流したり、誰かのことを騙したりして、非建設的で揚げ足を取ってひどいことをしているように思いますが、これはこの匿名の脆い信頼関係があるからこそ成り立つ、2ch上のひとつのコミュニケーションの形態なんだと考えます。普通に書き込みしてても得られるシンパシーが少ないので、そういう2ch特有の結束を自ら求めて、あえて自分から匿名の相手に対して餌をちらつかせてみるんです。「周りの反応を楽しんで」いる。存分に。
 そしておもしろいのが相手も相手でそういう釣り行為に対してまんざらでもない。「釣られに来ますたwww」とか言っちゃって。*2例えばニコニコ動画でも、R-18っぽいいわばエロで釣ってる動画しばしばありますが、なんかわかってても釣られに行っちゃう。そういうものが、2ch住民の、電凸だとかといった結束力の根源にあるような気がしてなりません。そしてこういう意識も日本特有のネット文化のひとつだと思うのです。

参考URL
http://oshiete1.goo.ne.jp/kotaeru.php3?q=946936教えてgoo
追記
そして俺もこのエントリでどれだけ釣れるかwktkしているが過度な期待は落胆するだけなのでやめとこう

*1:確証はありません。教えてください、英語のうまい人。

*2:まぁ釣られるかしらけるかは釣る側の”ココ”のもんだいよな