一連のいわゆる「グルメレース動画」に関して思うこと

 さて、最近のニコニコ動画の動きで非常に気になる、しかし興味深いことがあります。おそらく運営さんも頭を悩ましていることでしょうが、それは、一連のグルメレース動画です。某女性タレントが、某宗教団体に入っていたという内容のMADなのですが、それ以外にも、工作だかなんだか知りませんが、例の宗教団体関連の動画が何かにつけてランキングをにぎわすようになってきました。その動画は消されても消されてもゾンビのようによみがえり、消されると増えるという特殊効果も発動されています。
 まぁおれは信者でもなんでもないですし、例の団体にはいいイメージも悪いイメージも持ってなくって、まぁかさこそやってるのはよくないなーとは思ってるのですが、ついに始まったか、というのが今の僕の持つ感想です。
 何が始まったかというと、タブーの共有・可視化です。
 本来そういうタブーの共有は、2ちゃんねるで行われていたものでした。
 その2ちゃんねる言説が近年まとめブログなんかを介して外に出ていくようになりました。2ちゃんねるの言説が水面下で影響を及ぼす範囲が広くなったわけですが、それによって、世の中の不平不満、タブーなんかがもっと多くの人に共有・可視化されることとなり、それが現実社会との軋轢を生むことになります。
 さて、今回の一連のニコニコ動画グルメレース騒動はその好例ではないでしょうか。
 ニコニコ動画は、視覚と聴覚に訴える分、ある意味2ちゃんねるよりも影響力はあるし、2ちゃんねる以上に後ろめたくない。そんな場所にこれだけナイーブな話題が「パーン!」とあがってきたのはリアル社会にも相当、影響を及ぼす気がします。しかも相当に強烈な軋轢を及ぼす気がします。この傾向がどんどん盛り上がっていっても、マスメディアは「嫌韓」見たいにおおっぴらにこのことを取り上げられないし、そうこうしてる間に水面下ではタブーがどんどん共有されていって、みんなが「じゃあ何でマスコミじゃ流れないんだ?」とか疑問に思って、日本全土が矛盾だらけになって、いつか臨界点に達したとき、大変なことが起こると思う。たぶんリアルが炎上する。
 だから、こういう使い方はきらいじゃありません。ナンセンスなMAD動画を通して、社会の一面を抉り取るのは、見ていて清々しいですね。なんかノリ的にアメリカっぽい。だから運営も、消す必要は無いんじゃないのかと思います。まぁどこかから削除要請が出てるとかなら別ですが。
 今回のケースに限らず、利権とか、隠し事とか、言論統制とか、秘密結社とかが、やりにくい世界がどんどんネットに構築されているなってつくづく思います。中国のgoogle言論統制にしたっていつかは絶対破綻します。その世界の頂点にはかつては2ちゃんねるがいたんですが、今やそれはネット空間全体に飛び火している感がある。情報は、ますます自由になりたがっていますね。
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