京都という街が持つ、もう一つの側面

 遅まきながら僕もはてな移転に関してちょっと私見を。
 このはてな京都移転に関しては、いろいろ賛否両論あるんだけど、個人的には僕ははてなが京都に戻ってくるのは結構ポジティブに受け止めています。自分が今住んでるからっていうのもあるんですけどねww
 今回のはてな京都移転は、どうやらid:jkondoさんが結構独断で決めたっていういきさつがあるらしく、それに伴って何名か退職した方もいらっしゃるようで、その割には京都に戻ってくる根拠が薄いだけに、確かに明確なビジョンはなさそうな印象は受けますよね・・・・。
 では、そこまでしてid:jkondoさんが京都にオフィスを移したい理由は何なのか。
 最近僕がイベント企画の際にお世話になった人で、京都のクラブを中心に音楽系のイベントをよく企画していらっしゃる人がいるのですが、この前その人とご飯を食べに行ったときに、「京都はもっと産業都市・研究開発都市と言う面を前面に押し出していかなくちゃいけない」と言う話をされました。
 京都という街は歴史都市という国内外に通用する大きな一面を持つ一方で、ワコール・京セラ・オムロン任天堂などなど多くの企業の本社と大学を抱え、学園都市・産業都市・研究開発都市という一面も実は持ち合わせていて、そこでは今ある価値観にとらわれないクリエイティビティに富んだビジネスが行われているんだよ、と彼はいいます。京都生まれ京都育ちの彼は、「実は京都で生まれたものって結構多くって、それが東京と言う大きな市場で流行っているんだよ。だから東京は、大消費地なんだよね」とも言っていました。半分暴論ですがね。
 そう、もうひとつの魅力とは、研究・クリエイティブ都市としての京都です。id:jkondo氏は京都の持つこの一面の力を信じているのではないでしょうか。
 たとえば任天堂なんかがその最たる企業で、今でこそWiiとDSが当たって息を吹き返していますが、それ以上にバーチャルボーイやバズーカみたいなコントローラーのような、常識的・経営マネンジメント的に考えたら首を傾げてしまうような、馬鹿げてる商品もそれ以上に世に送り出してきた。その誰も思いつかない発想を本気で形にしてしまうような土壌が、京都にはあるんだと思います。京都アニメーションも然り。
 産業に限らず、文化の面からも京都という土地は、なんか上手く言えないんですけど、何か新しいものを生み出す気概に満ちている気がします。
 大学の例でいくと、関西最高学府の京都大学も、マンガ学部のある芸術系の京都精華大学も、自分を表現したい、新しいものを生み出したいという鬱積感にも似た雰囲気を感じさせるものがあります。ちょっとキャンパスを歩くだけでかなりそれは感じます。
 音楽の例では、この話しもさっきの彼から聞いたんですけど、たとえばレコード会社の人が新しいバンドを探すときには、結構京都に探しにくることが多いらしいんですよね。その中で見つかったのが、くるりだったり、大沢伸一だったり、uverworldだったり*1。僕はクラブミュージックが好きで週末はクラブに繰り出したりすることも珍しくないんですが、街の規模の割には、クラブハウスもライブハウスも多いんですよね。有名なところでいくと、磔磔だったり、メトロだったりワールドだったり。特に磔磔なんかは30年近く続いてるクラブハウスの老舗ですよ。大きさもそこまで大きくないのがほとんどですが、結構コアで有名なバンドだったりDJだったりがよく来るので、音楽と言う面ひとつとっても非常に恵まれた環境があります。最近のjazztronikkyoto jazz massive、DJ KAWASAKIあたりの所謂「おしゃれハウス」の流れも、collageと言うクラブの存在抜きには語れないですしね。
 京都に暮らしてみないとなかなかこの雰囲気は感じ取れないと思います。逆に僕は京都に今暮らしてるから、新しいものを生み出す場として、id:jkondoさんが京都を選んだのにもうなずけるところはある*2
 おそらくid:jkondoさんが京都にこだわるのも、そういった京都の持つなんとも言えないクリエイティビティを求めての行動なんじゃないのかな、と思います。変な会社が変なことを考えるには、京都は最適な場所です。札幌とか仙台とか、ほかの地方都市ではたぶん変な事は考えられないんじゃないでしょうか。
 はてなが京都来るなら俺もそのまま京都に就職しちゃおうかなとか考え始めたけどそんな安易なことで自分の就職先は考えたくないのでもう少し考えます。確かに京都はいい街だからなぁ・・・。

*1:後ろ二人は滋賀なんですけどねwでも実質京都で大きくなったようなものなので・・

*2:移転に際してのプロセス如何はおいといて